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「夜店なんてかなり久々で、懐かしくて色々買い込んだけど……まあ、お前がいるから無用な心配だな」
一人納得する龍貴に、景織子は反論する。
「あのね。いくら私だって限度ってものがあるの。責任持ってあなたも半分ちゃんと消費してよ」
並んで腰を下ろした、芝生の上のビニールシート。
限られた空間の端々に詰まれたフードパックの数々に、出店の灯りに照らされた龍貴は明らかに嫌そうな顔をする。
2人で食べるには多過ぎる量だと忠告したにもかかわらず、あれもこれもと次々買ってきたのはどこの誰だと、余程怒鳴りたくなる。
そんな景織子の心中を察したのか、温くなったコーヒーのペットボトルに口をつけながら、平然と龍貴はのたまう。
「もうすぐ健康診断だから節制してる」
目についた物を、とりあえず片っ端から購入してみただけ。
そんな心の声を代弁している龍貴の発言に、景織子は開いた口が塞がらない。
「毎日一箱開けてる煙草止める方が、遥かに先だと思うけど」
「本数減らすように日々頑張ってるだろ……あ゛ー」
ここで再び、冒頭の唸り声に逆戻りする。
しまったと後悔しても、時既に遅しだった。
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