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アロマオイルを焚いて、テーブルに花でも飾ろうか。女子大生ならモデルルームのようなインテリアに憧れがあるだろう。なにより、きれいに飾ると家が喜んでくれる。
「鈴乃ちゃんは、どんなお花が好きかしら?」
キッチンに声をかけても、未鈴はこちらに背を向けたまま応えない。ウェッジウッドのティーセットがよほど気に入ったらしく、食器棚に張りついて離れないのだ。
バスルームから水音がする。休日の朝シャワーを浴びる習慣があった夫だろう。スイッチを入れずともシーリングファンはゆるやかに回り、並んでテレビでも観ているのか、ソファには大小二つの凹みが見える。
平穏な日曜日だ。
友里恵は笑みを浮かべ、両手を組んで気持ちよくのびをした。
「お迎えの準備をはじめるわね」
【了】
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