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 兄夫婦が5年前に中古で購入したのは、洋風の一軒家だ。こぢんまりした二階建ての2LDKで、引越し当初から兄に「遊びにこい」と誘われていたものの、未鈴は一度も足を踏み入れたことがない。  冗談じゃない、あんな気味の悪い家。さすがに口には出さないが、ずっとそう思っていた。親戚もみんな眉をひそめ、「よりによってなぜあんな家を」と法事のたび話題になる。  できることなら行きたくない。しかし、そこでしか話ができないのなら背に腹はかえられない。未鈴は冷めた紅茶を飲み干し、伝票をつかんだ。 「おじゃまするわ」
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