1話 出会い

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次の木曜日、いくちゃんと図書館でハヤミさんを待つ。ハヤミさんは午後6時頃に来た。 「あれがハヤミさん?」 カウンター前に立つスーツ姿のハヤミさんをいくちゃんが見る。 またお姿を拝見できるなんて幸せ過ぎる。 「うん。イケメンでしょ?」 「整った顔立ちではあるけど、なんか怖そう」 「怖そう?」 「もっと優しい感じの人かと思ってた。スーツ姿は長身だからカッコイイけどね」 「でしょ、でしょ! ハヤミさんってスーツ姿がいいんだよね」 今日のグレーのスーツも素敵でよく似合っている。 「ハヤミくん、お待たせ」 カウンターから紺色のエプロンの女性が出て来た。 ゆりさんって人だ。 「うわっ、あの人美人!」 ハヤミさんよりもゆりさんの方にいくちゃんが食いついた。 「あっ、ハヤミさんが微笑んだ。笑うと素敵ね」 いくちゃんが言った通り、ゆりさんと向かい合ったハヤミさんが微笑んだ。物凄く優しい表情になる。 「いい雰囲気の二人だね。美男美女って感じで」 確かに美男美女。 ゆりさんに向かって砕けた表情を浮かべるハヤミさんを見て、急に胸の中がモヤモヤとし出す。 2人はどういう関係なんだろう? もしかして、ゆりさんはハヤミさんの片思いの相手? いや、そんな訳ない。 ゆりさんはお子さんがいて、結婚しているような話をこの間していたし。 でも、結婚しているからこそ、言えない想いがあったりするのかな。毎週図書館に来るのって、まさかゆりさんに会う為? そう思った時、ピンと来てしまった。 胸が張り裂けそうになる。 今日こそはハヤミさんにお礼を言おうと思ったけど、無理。もうそんな勇気ない。
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