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「美樹ちゃん、今度は焼き鳥?」
丁度、焼き鳥店さんがあった。店先から焼き鳥のいい匂いがしている。
「ち、違います」
「じゃあ、パン屋さん?」
焼き鳥屋さんの向かい側にはパン屋さんがあった。こちらからもバターのいい香りがする。この商店街、美味しそうなものがいっぱいだ。
「寄って行く?」
速水さんがパン屋さんに視線を向ける。
すっかり私、食いしん坊キャラ。
「大丈夫です」
そう答えた時、前から走って来た自転車が私のすぐ近くを走る。ぶつかると思った時、速水さんの手が私の肩を掴んで、速水さんの方に引っ張ってくれた。
スーッと自転車は速度を緩める事なく私たちの横を通り過ぎる。
「危ないな」
私の肩を掴んだまま速水さんが言った。
「美樹ちゃん、大丈夫?」
「は、はい」
全然大丈夫じゃない。速水さんとの距離が近すぎて、心臓が壊れそうな程、鳴っている。
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