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集学館に行くと受付の人に捕まった。
「どういったご用件でしょうか?」
マネキンのようなほっそりとした美人がじっとこちらを見る。
「えーと、文芸部の速水さんに用事がありまして」
そう言いながら、リュックに手を突っ込み、速水さんに頂いた名刺を探す。
確か内ポケットのケースの中にしまってあったはず……。
あった!
ケースを取り出して、大事に仕舞ってあった速水さんの名刺を受付の人に見せる。
「アポはございますか?」
「アポはありませんが、急用なんです。取り次いで頂けないでしょうか?」
「少々お待ち下さい」と言って、受付の人が電話してくれる。
そして一分後。
受話器を置くと受付の人は私に向かって微笑みながら口を開いた。
「速水は社にいないそうです」
「えっ!」
速水さんがいないとは思ってもみなかった。
「あの、どちらに行けば会えるんでしょうか?」
「申し訳ありませんが、そこまではこちらでもわかりません」
「速水さんの部署に人に聞けばわかるのでは?」
「部署の者もわからないと言っていました。お引き取り下さい」
ニコッと微笑んだ受付の人の顔から強い圧力を感じて、これ以上質問できなかった。
仕方なく、集学館を出た。
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