8話 タクヤ君のスキャンダル

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「速水さん、起きて大丈夫なんですか?」 「えっ」と速水さんの眉が寄る。 「だって、熱があるんでしょ? 会社をお休みする程、具合が悪いんでしょ?」 次の瞬間、速水さんが「ああ」とハスキーな声で口にし、それからクスッと笑う。 「熱はないから大丈夫だよ。どうぞ」 速水さんがスリッパを出してくれて、中に入るように勧めてくれた。 「ちょっと今日は散らかっているけど」 廊下の先のドアを開けると広々としたリビングがある。昨日と違って広いテーブルの上に書類の束が山のように積まれ、その脇にはノートパソコンが置かれていた。 お仕事をしていた雰囲気……。 速水さん、寝込んでいたんじゃないの? 「美樹ちゃん、コーヒーでいい?」 キッチンから普段よりハスキーな速水さんの声がかかる。 「お構いなく。あの、いろいろ買って来たんです」 速水さんの傍に行き、キッチンカウンターの上にレジ袋を置く。 「えーと、これは風邪薬で、これは栄養ドリンク、それからのど飴に、スポーツドリンク。あと、お粥の材料です」 カウンターの上に出した品物を見て速水さんが目を丸くする。 「もしかして、寝込んでいると思った?」 「……はい。あの、体調は大丈夫なんですか?」
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