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ハヤミさんにちゃんと書店での事を言おうと決め、女子トイレを出た。
ハヤミさんがいた日本文学のコーナーに戻るけど、姿がない。
帰ってしまったんだろうか。
二度とハヤミさんに会えないかもしれないという思いが膨れ上がる。居ても立っても居られなくなった。
必死でハヤミさんを探す。一階から三階まで、隈なく探し、何周もした。でも、見つからなかった。
せっかく神様がハヤミさんに会わせてくれたのに、無駄にしてしまった。私のバカ、バカ。もう死にたい。
絶望的な気持ちで図書館の出入り口付近にいた時、「すみません」という男性の声がした。
カウンターの方を見ると、ハヤミさんが立っていた。
あんなに探したのに、今までどこにいたの?
カウンターの奥から紺色のエプロンを付けた女性が出て来る。
「ハヤミくん、来てたの?」
女性は親し気な様子でハヤミさんに話しかけた。
よく見ると、さっき私に声をかけてくれた女性に似ている。
図書館の人だったんだ。
「ゆりさんに会いに来たんだよ」
女性に向かって微笑むハヤミさんを見て、カーッと頭に血がのぼる。
ショックだ。
ハヤミさんが女性に対してそんな親し気な呼び方をするとは思わなかった。
もしかして恋人?
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