009

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「悪くないですね。6畳なのに、ベッドを置いても余裕がありそうです。あ、バストイレも拝見して良いですか?」 「どうぞ」 村田は、相変わらず扉の外にいて、大きめの声で返答した。 風呂とトイレはユニットだったが、清潔だと思った。 「川村さん、いかがですか?」 「悪くないですね。壁も床も綺麗です。逆に、綺麗すぎて違和感を覚えるくらいです」 「それはよかった! 何なら、今日からどうですか? 鍵、置いていきますよ」 「え? 今日から?」 僕は、村田の提案に驚いて居間の入り口に戻る。すると待ち構えていた村田が、乱暴に僕に何かを手渡した。 掌を開く。 …… この部屋の、鍵? …… 「…… どうぞ、ごゆっくり ……」 村田は、そう言って笑うと、部屋の扉を閉めた。足音が遠ざかる…… .
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