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ぼくは、携帯を投げ捨てる。それは壁に当たり、オレンジ色の光を発して砕け散った。
…… 奴は誰なんだ。どうしてぼくを追い詰める? ……
心の糸が切れると、不思議と落ちついた。一転してぼくは、恐怖へと惹かれていく。
…… 正体を知らぬまま殺られてたまるか ……
そう思い、震える足を立てて歩むと、扉に近づいた。風が強くなる。
ドアノブを回して開けた……
◇◇◇
「ねえ直侍。それって本当の話?」
芳美が訊いた。
「本当だよ。その後、親族に引き渡されたんだけれど、亡骸は酷く痩せていたそうだ。燻製みたいに干からびててさ……」
そう桜井は答えた。
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