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………… 「なあ加賀美。それってあれじゃないか?」 「あれって?」 「…… 事故物件 ……。幽霊が棲んでるとか、そこで誰かが殺されちまったとか」 「まさか。賃貸担当の村田さんは、誠実な人柄だし実績もあるんだ。村田さんに限ってそんな物件を紹介するはずがないよ」 「ならいいんだけど」 友人の桜井(さくらい)はそう言うと、お通しの新香を口に放り込み、ぽりぽりと噛んだ。 ………… テーブルに、焼き魚定食と生姜焼き定食が届く。いい匂いだ。 「あの、生大(なまだい)はまだですか?」 「今すぐ持ってきまーす」 ………… 「ま、取り合えず、加賀美の転勤祝いだ! 乾杯!」 「ありがと! 乾杯!」 .
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