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枝ぶりは 何処から見ても 同等に
枝ぶりは 何処から見ても 同等に
(このページは、エッセイ、【相州南武蔵通信②】にも記載しています)
以前、
植木屋が、住んでいる集合住宅のサツキの植栽を、葉を切り跳ばして幹だけにした。その様子を、集合住宅の住人で植栽に詳しい唯一の住人に話した(エッセイ07 で述べた)後日談である。
今回、会報で、集合住宅の会報で植栽の手入れについて知らせてきた。
相見積もりも取らずに、これまでの植木屋の業績を鑑み、植栽の手入れは現在手入れを委託しているこの1業者に任せ、かつ、この集合住宅の植栽を専属に管理監視する職人を一人、年間契約で定期的に見廻らせるというのである。日当は相場の二倍だ。呆れた話だ。
私なら、その半額で仕事をしてやるのだが。そう思っていたら、植栽に詳しい唯一の住人も、同じ事を述べていた。
そして、植栽に詳しい唯一の住人が、
『植栽の手入れも知らない素人ばかりでこまる』
と話したように、業者がサツキを切り払った件に関して、この集合住宅の環境理事会の委員長は、
「4階から見た光景と、下から見た光景はちがうから、4階からの見方で判断してはいけない」
「高い樹木も、見る方向で、その向こうが透けて見えたり、見えなかったりするから、各部屋の目隠しになるとは限らない。
住人で良く話し合うことが大切だ」
などと、業者寄りの発言をしていた。
私はこの会報を見て、思った。
『こいつら、植栽の剪定を知らぬ、ど素人だ!
集合住宅の環境委員長などと権力を翳して、業者に肩入れする意見を住人に押しつけようとしている。業者と癒着してるのか?
だいたい、理容店で、頭のてっぺんを禿げ同然に切られて、
「横から見たら、問題ないです」
などとの言い分が通るはずはない事を、理解していない。
剪定も同じだ。全方位、何処から見ても、『綺麗な植栽だ!』とするのが剪定である。
剪定は植栽を美的に形作るのが目的だ。
「この植栽は、将来、この様に成るように手入れしてくれ」
と剪定を依頼すべきである。
植栽の剪定を依頼する者も、植栽を剪定する者も、美的感覚がなければ、良い仕事はできぬし、剪定された植栽も、良き作品には仕上がらない。
杉林の枝打ちとは訳がちがう。
(俳句集二 了)
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