短歌集二 目にはさやかに見えねども

佇みて 懐かしき人 見送りぬ 再度別れの 無きぞ悲しき

　　佇みて　懐かしき人　見送りぬ
　　　　　　　　　　　再度別れの　無きぞ悲しき

　ねえねえ、じゅうり～。トラックが来て　古い家具を積んでるよ。
　うん・・・。

　どうしたの？じゅうり～。ねえねえ、どうしたの？
　いろいろ思ってたんだよ。トラも、上の階の婆ちゃんが入院したのを知ってるよね。

　うん、知ってるよ。救急車で運ばれてったよね。
　あの人たちは婆ちゃんの子どもたちだよ。婆ちゃん、入院したままだから、子どもたちが、婆ちゃんの住んでた部屋を処分するんだね。それで、先に家具を処分してるんだ。もう、二度とあの家具を見ることが　なくなるんだね・・・。

　思い出も捨てるってこと？
　そうだね・・・。

　さみしいね～。
　うん。