いつまでも 枝にありぬる 渋きもの 鳥獣のみぞ 美味時を知る

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いつまでも 枝にありぬる 渋きもの 鳥獣のみぞ 美味時を知る

  いつまでも 枝にありぬる 渋きもの             鳥獣のみぞ 美味時を知る  なあ、トラ。あの柿の木、実がついたまま、誰も取らないよね。なぜだと思う?  きっと、こわいおじさんがいて、家の人も柿をの実を取れないんだよ~。  トラはそう思うのか?  そうだよ~。ちがうの?  あの柿、渋柿なんだよ。渋くてそのまま食えないから、木から柿の実を取らないんだ・・・。  そしたら、柿の実はどうなるの?  あのまま放っておくと、トロトロに熟して、寒くなると渋が抜けるんだ。すると、鳥や動物が食べに来るんだよ。  人は食べないの?  トロトロのは食べずらいから、食べないよ。渋柿を食べるなら、渋柿が色づいたら取った、皮を剥いて干し柿にするんだよ。水分が抜けて渋が抜け、甘くなるよ。  他にも、焼酎なんかに漬け込んで 渋を抜く方法もあるよ。  あの家の渋柿、そういうことをしないんだね。  最近の人は、柿を食べなくなったよね。渋柿なんかは、わざわざ干し柿にしたり、焼酎に漬け込んだりする手間を、かけたくないんだね。  怠け者ってこと?  いや、そういうことを 知らないんだろうね。  いろいろ便利な世の中になると、人は怠け者になるんだね。  そうだね。教える人もいないんだろうね。  そうなのか・・・。
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