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1.今年の夏の目標は
私、神楽坂リコ・二十四歳は、今年こそひと夏の恋をして処女を卒業します!
そう、決意していた今年の夏ももう終わる。
毎週末はキワどいビキニを着てプールに行ったわ。お盆休みにはごった返しの海水浴にだって行った。会社帰りには居酒屋やクラブで素敵な出会いに期待したし、マッチングアプリだって積極的にログインした。
「なのに……ひと夏の恋が出来ない……」
仕事後の女子会でそううなだれる私に、親友の沙美は呆れ顔をしながら私の頭を撫でる。
「だからぁ、そんなガツガツしてるから男の一人も寄って来ないのよ。もっと自然体でいなさいって。リコは可愛いんだし、焦らなくたってセフレのひとりやふたりすぐに出来るわよ」
「わぁぁぁ、そんなの非処女の沙美に言われたって全然嬉しくなぃぃぃ!!」
そもそもだ、何故私がこんなに焦っているって? それはね……。
「このままじゃ柏木さんに重い女だって思われる」
そう、私には好きな人がいる。それは柏木隼人さん・二十八歳だ。
「仕事も出来てモテモテな柏木さんが、私みたいな童顔の幼児体型でさらに処女だなんて言ったら重すぎてドン引きするに違いないよ……」
「重い女だと思われたくなくて他の男と寝る女の方がドン引きされると思うけどね?」
沙美の正論が心に突き刺さる……。
でも、私としては重い女だと思われたくなくて。二十四歳にもなって処女だっていうのもコンプレックスだし。もっとこう、女として堂々とありたいって言うかね。とにかく一回ヤッてみて自信を付けたいのよ。
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