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結婚の経緯
夫との出会いは彼の家、つまり義父の家だった。
当時大学生の私はアルバイトで中学生の夫の家庭教師をすることになった。私は二十歳、夫は十三歳。
陽気で遊び好きの小学生時代が抜けきらない中学生の彼は、最初の試験で思わしくない結果を出してしまい、両親が慌てて家庭教師を手配したということらしい。
三年間みっちり勉強を教え、高校は県下でもそこそこの進学校に進ませることができた。なので義両親からの私に対する信頼も厚かったが、私の就職もあり、家庭教師は中学までで、縁はそこで一度切れた。
それ以降連絡は取っていなかったが、数年後偶然再会し、年下の彼に口説き落とされた。なかなかのイケメンに成長した彼の若いアプローチに、男性経験のなかった私は抗えなかった。
あっという間に子供ができてしまい結婚のあいさつを、となったとき、当時他部署の部長だった義父と対面してしまい、そこで初めて同じ会社だったと知った。よくある苗字だったのでまさかそうとは思わなかったのだ。
もっとも義父の方は知っていたらしい。
しかし結婚するとなったらそんなのはただの確認事項。問題は夫、カイにあった。
私と出会ったとき、彼は浪人して入った底辺大学をいまだに卒業できておらず、もちろん就職もしていない状態。
そんな中で私を妊娠させた。
私は妊娠してから、彼がまだ大学生であることを告げられた。
しかし当時の私は自分が結婚できるとも思っておらず、若いイケメンに愛されていることに舞い上がっていた。自分の稼ぎも十分あったし夫に専業主夫を提案したのだ。
夫は喜び勇んで大学を辞めた。
本当にバカだった。年増の深情け、まさに脳内お花畑。
結婚のあいさつに伺ったとき、義父は私の仕事ぶりを評価し、だらしのない息子にふさわしいと喜んでくれたが、義母は顔をしかめた。三十を超えた年増女がまだ若い息子の嫁になることを私を目の前にして苦言した。
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