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浮気の詳細
証拠は三日で集まり、というか調査開始から毎日女を家に連れ込んでいる有様で、三日目で十分な証拠が取れたため打ち切られたのである。
息子のプールの付き添いはパパ友に押し付け、自分は自宅で浮気…そのパパ友の奥さんは中学の先輩でよく知っている人だった。息子は父親が実家に用があるというのを信じていた(ふりをした)そうだ。
プールが終わった後も、夫が迎えに行くまで友人宅で遊んでいたとのこと。
息子が虐げられていなかったことに安心こそしたものの、まさかよそ様を巻き込んでいたとは。
浮気よりそちらに羞恥と怒りがこみ上げた。
さらにその女はそのプールで知り合ったシンママで、年齢は大体私の思った通りだった。
「連れ込み慣れてる感じでしたね。以前にも浮気していたのでは?」
「…でしょうね…」
義父と共に会社近くの、あの女と話をしたカフェで興信所の話を聞き、証拠書類に軽く目を通す。
証拠は弁護士が有利に進められるだけの量があればいい。
詳細を見る気にもなれず、さっさと書類をテーブルに戻そうとしたとき、ふと、あることに気が付いた。
「…あの、シンママってことは、夫と会ってるときその子供はどうしてたんですか?」
私の会社に押し掛けてきた時もそうだった。八月だと保育園や幼稚園も休みではないのか。
「そこはすでに手を打ってます。知らないのは本人ばかりですよ」
興信所の男は資料を封筒にしまいながら口端だけの笑みを見せた。隣にいた義父が頷く。
「弁護士に動いてもらっている。レオもだが、親の体たらくで子供が不幸な目にあってほしくない」
本当にどうしてこんな正しい人から、子供をだしに不倫するような男が生まれたのだろうか。
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