ー|黄昏《たそがれ》ー

3/3
前へ
/3ページ
次へ
 ***  秋の空は高く澄んでいる。薄い雲がゆっくりと流れ、冷たい風が色づいた落ち葉を舞い上げた。  いつも通りの並木通りを潜り抜け、私は会社のビルへと歩み出した。  懐かしい思い出と、切ない感情(きもち)が蘇る季節になったな、としみじみと思う。もうあの日から10年が経とうとしていた――。  一色 梨那、私は25歳になろうとしていた――。
/3ページ

最初のコメントを投稿しよう!

3人が本棚に入れています
本棚に追加