動物

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「こうなると、もう一度『動物地球防衛軍』で切り抜けるか…。」 「え?」  ライオンのこぼしたつぶやきに、真っ先に反応したのはハイエナである。 「オレ、もういやだっし。」  それはそうだろう、と、キリンは内心ハイエナに同情した。  前回の動物地球防衛軍の作戦を決行したとき、人間ども…マスコミと呼ばれる者共が押し寄せてきたのである。奥地へは鉄壁のガードで人間を入れさせることはなかった。  そのマスコミは、どれだけキリンたちが説明しようが動物の言葉は理解できないはずなのに、へんてこりんな黒い物体――マイクのことである――を口元に寄せながら、真剣な表情で変なタイミングにあいづちをうっている。そのことは、一か月ほどサバンナで笑いの種となった。  しかしそれはミーアキャットやコアラなどのかわいらしいと思われる動物のみ。ゾウやライオンが話に行こうとすると、何やら奥からマスイジュウと呼ばれるものを持ち出してうってくるのだ。  正直、ハイエナに限らず、みんなうんざりだった。 「オレ、もういやだっし。」  ハイエナが同じ言葉を放つ。 「オレ、危うくうたれるところだったっし。」 「まあ、ハイエナ君の思いもわかるが…。このままでは、木がなくなるぞ。」 「それもいやだっし、ライオン殿。」  ライオンとハイエナのやり取りをしばらく眺めていたキリンは、何か思い立ったようにそばにいたセキセイムクドリに小声で話しかけた。 「ねえセキセイムクドリさん。僕いいことを思いついたんですよ。」 「へえ、なんですか?」 「葉に『木を切るな』というメッセージを書いて、灰色の国にバラまくんですよ。」  キリンは嬉しそうに続ける。 「そこでですよ、セキセイムクドリさん。お友達かお知り合いに…。」 「キリンくん、セキセイムクドリくん。会議中だが、雑談はよしてくれるか?」  キリンとセキセイムクドリはビクリと肩が震える。 ――どうしましょう、キリンさん。 ――アイディアだから、言います。  二匹はアイコンタクトで会話を済ませると、キリンが口を開いた。 「あ…あのですね…。」  キリンは先ほどセキセイムクドリに言ったアイディアをライオンに伝えた。 「そのためには、渡り鳥さんの協力が必要なんです。」  そう言葉を結ぶと、ライオンが「むぅ」と軽くうなった。 「渡り鳥が協力してくれるか…。やつらは町へ行くのを嫌がるからな…。」 「で…ですが、カラスやスズメなど、野鳥に手伝ってもらえば…。」  キリンが言うと、ライオンの目に輝きが増した。と、一つ高く吠えた。全員が驚く中、ライオンが興奮した様子で話し出した。 「素晴らしい!キリンくん、君は天才だ!葉には、アカシアを使おうか。葉は、今から飛び立つものに持たせよう。全員、いますぐ葉にメッセージを書くのだ!」  ライオンの言動に驚きつつも、全員が今さっきライオンが呼んだ渡り鳥にメッセージを書いた葉を渡してゆく。 「行ってらっしゃい!」  渡り鳥たちを見送った動物たちは、少し心が軽くなった気がした。
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