動物

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動物

 ところ変わってジャングルの奥地。ライオンをはじめとするサバンナの生物が集まって、動物会議をしている…はずなのだが。渋い顔をしているものが多い。  と、ライオンが重々しく口を開いた。 「我々は、とんでもないことをしてしまった…。確かに、人間どもは我々のおかげで灰色の物質をあまり出さなくなった。」  ライオンに続き、ミーアキャットが口を開く。 「しかし!地球目線で考えると、全く良いことではないのであります!」 「え、どういうことです?」  ミーアキャットの言葉に、とっさに発言したのはキリンである。 「人間の行動は、相当よくなったではありませんか。渡り鳥たちの愚痴も聞かなくなりました。それなのになぜ、もう一度動物会議の議題に上がるんです?おかしいですよ、矛盾しています。」  キリンが言うと、今回左隣に座ったコアラがなだめた。 「まあまあ、キリンさん。今はゆっくりミーアキャットさんの話を聞きましょう。」 「……。」  キリンが口をつぐむと、ミーアキャットが再び口を開く。 「キリンさんの考えも分からなくはございませんが、今、人間は、木でタテモノと呼ばれる、我々でいう巣を建てているのであります!」  ミーアキャットが、青汁を50杯程一気に飲んだ時のような顔になる。 「…これがどういうことを暗示するか、分かる方いるでありますか?」  ぽつりぽつりと前足が上がり始める。 「では、野兎さん。」 「はいですピョン。」  あてられたのは、若い野兎である。 「私の意見になりますが、タテモノ?に木さんをたくさん使ってしまうなら、地球の木さんがなくなってしまうと思いますピョン。」  風がザワリと木々を揺らした。 「シマウマくん、今の発言は非常に重要だ。書き留めておくように。」 「はい、承知いたしました、ライオンさん」  しばらく、静かな時が流れた。 「ほ、他にありますか?」  野兎の言葉に相当動揺したらしきミーアキャットが聞く。 「では、ベニハチクイさん。」 「はい。」  次にあてられたのは、鮮やかな色をしたベニハチクイだ。 「私も野兎さんと似た意見なのですが木殿は酸素を出してくれますので、酸素がなくなるかと考えまする。」  ベニハチクイの発言の後、ライオンがむむぅとうなった。と思えば、ぽつりと言葉をこぼした。
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