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「ここからずっと東に、『灰色の国』というところがあるそうだ。そこでは人間たちがあちこちで木々を切り倒し、山を削り、海を汚し、行き場を失った動物たちの多くが殺され、数少ない生き残った者たちが、息をひそめて暮らしているそうだ」
ライオンの言葉に、動物たちはブルブルと震え、小さく悲鳴を上げているものもいた。
ライオンは続ける。
「そして、人間が出したもの…『灰色の物質』としよう。灰色の物質が、じわじわと大地を破壊しているそうだ」
キリンは辺りを見回す。このサバンナにも、あの灰色の物質が来ているのではないかと、心配になったのだ。
「そんな人間を、君たちは放っておくことができるかね?」
一同、ブンブンと首を横に振る。全員の行動を見回すと、ライオンは満足そうにうなずいて、とんでもない発言をした。
「よし。では本日、ここに『動物地球防衛軍』を設立する!」
その時、サバンナのが止まった。
と、次の瞬間。割れるような拍手がサバンナに響いた。「天才! ライオン様!」と声を上げる者もいた。
ライオンは一瞬ポカンとしていたが、拍手と歓声に包まれ、わっはっはと笑い出した。他の動物たちもつられて笑い出した。
「ははは。さあて、記念すべき第一回目の『人間対策』は、どのようなものにしようか?」
ライオンの声に、動物たちは身を寄せ合い、何やら話をするのだった。
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