◆(1)手紙

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◆(1)手紙

 メラニー・マクドゥーガルは、青い封筒から出した、その長い手紙を読み直していた。途中で、読むのをやめて、自分の子どもたちの事を考えた。  この手紙を書いた女性のような立場に自分がなったとしたら、どう決断するだろうか、と、メラニーは思い、またその手紙を読み始めた。 メラニー・マクドゥーガル警察署長 様  個人的な都合で、多くの人々にご迷惑をおかけした事を、まずお詫びいたします。  あの異常な出来事、去年の10月17日~18日にかけてあった事件で、私の人生は一変しました。  自分の勤め先で多数の死者が出て、社長が警察に事情を聴かれました。どこかの知らない誰かがニュースに出ているのと、自分の親しい人が重大な事件に巻き込まれているのとでは、どれだけの違いがあるのか、思い知らされました。私も警察に話を聞かれましたが、わけがわからない事ばかり。  私は、社長に会わせて欲しいと、訴えましたが、警察はすぐには、許してくれませんでした。社長が誰かを殺すというのは、考えにくかった。乱暴な所がある人ですが、それは無いように思いました。とにかく彼の事が心配だったのです。
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