◆(2)侵入

1/1

0人が本棚に入れています
本棚に追加
/27ページ

◆(2)侵入

 社長……彼が取り調べを受けて、10日ほど経った頃でしょうか。  私が夕方、散歩で近くの森を歩いていたときに、視線を感じました。  それは彼、ジョンでした。とても悲しそうな顔しながら、彼は私を見ていました。彼は、やつれて無精ひげを生やしていました。彼は、私が気づいた事がわかると、逃げようとしましたが、私は追いかけました。  彼は「来るな!」と言いましたが、私は構わず彼の手をつかみました。  途端に、手に刺すような痛みが走ったのです。手に何かが入ってくるのを感じました。手には傷があり、私は、最初、何が起こったのかわかりませんでした。  彼は、突然、獣のように叫びました。驚いた事に、彼はすぐさまナイフを取り出して、私を刺そうとしたのです。わけがわかりませんでした。  とても悲しそうな表情をしながら、彼は追いかけてきて、私は必死に逃げました。しかし、彼の足は異常に速く、すぐに追いつかれてしまいました。  私は、彼に訴えました。 「お願い! 殺さないで! 私のお腹に子どもがいるの。あなたの子よ!」  彼は、最初、私の言った事が理解できなかったようです。しかし、事実がわかると、膝をついて「なんということだ……」といいながら泣き出しました。  私が、彼を抱きしめようとしたら、彼は言いました。 「触るな!」と。 「何があったの? ちゃんと話して!」 と私が叫ぶと、ジョンは話し始めたのです。
/27ページ

最初のコメントを投稿しよう!

0人が本棚に入れています
本棚に追加