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「やっと目が覚めた~。うまそうな匂い」
「いつもの蒼斗に戻っ……ちょっ!! 服着なよ!!」
「別に、俺と翔真しかいないんだから良いじゃん」
上裸で出てきた蒼斗にドキッとしてしまう。スポーツで鍛えられたしなやかな筋肉に釘付けになる。蒼斗は何も気にしていないが、翔真があからさまに動揺しているのを、くくく……っと声を殺して笑っていた。
悔しいが仕方ない。それほどまでに蒼斗はかっこいいのだから。
αに惹かれるのはβもΩも同じなのか。自分がもしΩなら、きっとヒートを起こしていただろう。
Ωのヒートを目の当たりにしたことはないが、なんとなくそう思った。
蒼斗とは中学生の頃からの友人なのに、どうも引っ越してきてから気になって仕方がない。
でもβがαと恋愛なんてできるわけがないと、自分の気持ちを閉じ込める。
いくら発情しないαだと言っても、運命の番に会えば分からない。
もし蒼斗が運命の番と出会ってしまえば、自分の行き場所は無くなる。
それならば、ずっと側でいられる友達のままでいい。
(…………って、なんで恋してる前提なんだ!!)
「ほら、早く着替えてご飯だよ!!」
気を取り直して朝ごはんを食べようと促した。
蒼斗が口を尖らせて返事をする。どうやらもう少し翔真の百面相で遊ぼうとしていたらしい。
「今度こそ本気で怒るからな」と最後に脅すと、渋々自分の部屋へと戻った。
後ろ姿まで綺麗なんて、これ以上は何を言われても反抗できなかったかもしれない。
部屋へと戻る蒼斗を、後ろから見つめる。
同じ大学へと進学するのは偶然だった。そして、それをキッカケにルームシェアをスタートさせた。
ルームシェアとはいえ、このマンションは蒼斗の両親が借りた場所だ。一人暮らしなのに個室が二部屋にLDK、広いお風呂。その上、立地も最高にいい。
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