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 蒼斗とリビングに移動し、並んで座った。 「あのさ、翔真の高熱の原因なんだけど。俺の所為かもしれない……ってか、俺の所為なんだ」 「ゴム使わなかったから? それは俺がそうしてって言ったからで!」 「違うんだ。そうじゃなくて……信じられないんだけど、俺の体質が関係してるって」 「どう言うこと?」 「単刀直入に言うと、翔真のバース性が変化してるんだ。今、βとΩの両方の反応が出てるらしい」 「Ω?」 「そう。俺がどうやらビッチングの能力が備わってたらしくて。それで……あの時、翔真の中で射精したから、翔真の体質の変化と共に体調に異常が出たのかもしれない。そう言われた」 「俺が……Ω……」  もし、自分がΩだったら……なんて幾度となく願った。そうすればαと番になれる。  今までは諦めていた希望の光が、こちらに向いた気がした。  それに気づいていない蒼斗は、申し訳なさそうに翔真を見ている。  蒼斗はこれまでαの中で生活してきた。βと友達になったのだって、翔真が初めてなのだ。  高校に入ってから、何人か彼女がいたこともあったが、全員αだっと記憶している。  Ωに発情しないと、番を諦めていた蒼斗であった。  でもそうじゃなかった。今までは、番になりたい人に出会ってなかっただけだった。 「翔真、俺さ……。翔真が好きすぎて、本能で番になりたいって強く願い過ぎたんだと思う。独り占めしたくて。誰にも渡したくないって、あの時、必死だった」 「蒼斗の強い願いが、眠っていた能力を引き出した……」  翔真をまっすぐに見つめたまま、蒼斗が頷いた。  そして、今後はきちんと避妊具をつけると加えて言う。 「嫌だ!!」  咄嗟に叫ぶように反論してしまった。  Ωになれば、蒼斗と番になれる。それは翔真の一番の夢なのだ。
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