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 翔真をベッドに寝かせると同時に、蒼斗が覆い被さる。翔真は確かに発情していた。先日よりも、さらにフェロモンの香りが増している。  あの発熱で、ΩのDNAが濃くなったのかもしれない。  蒼斗は自身の持つビッチングの能力を使い、Ωになった人こそが『運命の番』となる、特殊なαだったのだ。  蒼斗にとって、翔真は初恋と言える。  それを伝えると、翔真は高揚した頬をさらに赤くさせた。 「初恋だなんて……もっと子供の頃に好きな人いただろ?」 「いなかった。心から好きになったのは、翔真が初めてなんだ。きっと、初めて翔真と出会ったあの日から惹かれてたんだろうな。俺の人生を変えてくれた翔真は、すごくキラキラして見えたんだ」  中学生の頃、有名な私立中学校に通う蒼斗は、自分の勉強の限界を感じ、塾をサボってあても無く彷徨っていた。  制服だけで目立っていることさえ知らず、金目的にヤンキーに狙われていたのを助けたのが、翔真だった。  翔真は蒼斗にゲーセンやカラオケ、ショッピングなどの遊びを教えてくれた。年頃の男子が何に興味があるのか、どんな過ごし方をしているのか、何も知らなかった蒼斗は、新しい世界の扉を開いたような気持ちになった。
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