舞い込んだ大チャンス

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「ジンオーナーいらっしゃいますか?」  僕はいつも勤めている店ではなく、本店のジンカフェに行った。ジンカフェは、大学の側にあってランチや夜も食事ができる本店と、コーヒーが美味しくてドリンク中心の二号店と、僕が働いている街中の三号店がある。  雇われる時の面接で僕の事情を話すと、長期の欠勤は店長じゃなくて僕に直接話を、とジンオーナーに言われていた。 「おー、JK! 元気にしてたか?」  最寄駅から走って息を切らしている僕を見て、笑いながらジンオーナーは声を掛けてくれた。何故か解らないけど、オーナーは僕をジュン、とかじゃなくてイニシャル呼びをする。僕の名前がキムラ ジュンだからって、JKとか呼ばれるの、ちょっと恥ずかしいんだけどな。 「どうした、何かあったか?」 「はい、勤務の件でお話が……」 「おーそうか、事務所においで」  奥の事務所に入る。 「コーラスの仕事が入ったので、半年ほど、お休みを頂きたくて」 「それは長いな。ツアーで回るのか?」 「はい、Pさんのワールドツアーに同行します」 「ええ?! あのPのワールドツアー⁈」  ジンオーナーが大きな声で驚いた。オーナーはPさんのファンだ。 「それは行くしかないだろ! おお、休め休め! 店長には言っとくから」 「代わりの人をすぐに探せなくて……」 「いいから! 最近この店で向こうに行きたいって子がいるから心配するな。その代わり、いいライブして来いよ」 「ありがとうございます!」  ジンオーナーはニッコリ笑って、もし可能ならPのサインもらってきて!と付け加えた。  数日後に、ノゾム先輩とトモ先輩が3号店に来てくれた。 「すごいな! 頑張ってこいよ!」 「お土産よろしく!って冗談だよ! ライブ配信とかしないのかな? 歌ってるジュンを見たいよ」  高校の時の先輩たち。いつも僕を可愛がってくれる。  僕は素敵な年上の人たちに囲まれてるなあ。
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