第一章 国王騎士

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「ファサル様……」 村人たちは、泣かんばかりだった。 本当に、この国王様は、国民に慕われているのだ。 その国王様がわたしに言った。 「私は、城に帰るが、そなたはどうする?」 「わたしは、もう少しここに残って、後片づけのお手伝いをします。それに……わたしの名前は、サラと言います。本当に、助けて下さり、ありがとうございました」 わたしは、心を込めてそう伝えた。 すると、ファサル国王は、私を見つめて、微笑んで言った。 「サラ、無事で何よりであった」 ああああ、なに?  この人、めっちゃ、カッコいい……。 わたしは、城へ帰って行くファサル国王の後ろ姿を見ながら思った。 「ファサル様に、恋をしてはなりませんよ」 リナールの声に、ぼーっとなっていた、わたしは、ハッとした。 「え……、やっぱり、身分違いですよね……。王様だし、あんなに素敵で、みんなに好かれていて……」 それを聞いて、リナールの顔が曇った。 「皆が、あの方を慕うのは、良い方だからだけではないのです……」 「えっ?」 「あの方は、お命が……」 と言いかけて、リナールは、口をつぐんだ。 「えっ? 周りの国から、命を狙われてるってことですか?」 「いいえ……。まだ、この事は、あなたは知らない方がいいでしょう、サラ」 何だろう……。 わたしは、気になったけれど、リナールは、それ以上話そうとはしなかった。
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