60人が本棚に入れています
本棚に追加
わたしが、おろおろしていると、遠くの方から、地響きのような音が近づいてきた。
段々と近くなってくる影があった。
それは、馬に乗った甲冑を着た男たちの集団だった。
その男たちは、私とファサル国王を取り囲んだ。
そして、叫びながら、大きな剣で、ファサル国王に切りかかった。
「ファサル! 命をもらう!」
ファサル国王は、切りかかってくるいくつもの剣を、自分の剣で、受けながら、戦った。
ファサル国王は、怪我をしているはずなのに、圧倒的に強かった。
だが、わたしは、足がすくんで、立ち尽くしていた。
そのわたしに、敵の男の一人が気付いた。
そして、わたしに、切りかかって来た。
わたしは、怖くて、逃げることも出来なかった。
切られる!
そう思った瞬間、ファサル国王が、私の上に覆いかぶさった。
ファサル国王は、背中を大きく切られた。
しかし、その男に向き直ると、剣を一太刀して、その男の首を跳ねた。
敵の男たちは、それを見て怯んだ。
しかし、いくらファサル国王が強くても、彼は、大けがをして、そして、一人っきりだ。
無理だ。
勝てない……。
わたしが、絶望的になった時、遠くから、馬のひづめの音が聞こえた。
数人の兵士を連れた、中年の精悍な顔つきの男性が、乗っていた馬から下りたった。
「ファサル様! お助けに参りました!」
その男性がそう言うと、ファサル国王は叫んだ。
「サリエル!」
そのサリエルと呼ばれた男性は、剣を振るうと、敵の男たちを切り倒していった。
最初のコメントを投稿しよう!