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わたしは、赤ちゃんをファサル国王に対面させた。
ファサル国王は、赤ちゃんを見ると、目に涙を溜めて、潤んだ声で言った。
「可愛いな……」
そして、ゆっくりと、手を伸ばした。
わたしは、驚いた。
ファサル国王は、もう、体が動かせなかったからだ。
なのに、その手を伸ばし、手の平で、赤ちゃんの小さな頭を撫でた。
「ファサル様……」
わたしは、それを見ただけで、泣けて仕方がなかった。
ファサル国王は、そんな私に、言った。
「ありがとう、サラ……私は、そなたと出会うために産まれて来たのかも知れぬ……ありがとう……」
ファサル国王は、そう言うと、ゆっくりと瞳を閉じた。
「ファサル様?」
わたしは、急に不安になって、呼びかけた。
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