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第五章 永遠の国王
しかし、ファサル国王は、目を閉じたままだった。
「ファサル様!」
わたしは、強く名前を呼んだ。
だが、ファサル国王は、その銀色の美しい瞳を、二度と開けることはなかった……。
ファサル国王が、この世を去った。
葬儀は、ファサル国王が、簡素なものにして欲しと、生前、プルシアン王国の宰相で、幼馴染みのシアに頼んでいたらしかったが、ファサル国王の死を知った国民皆が、お城へ押し寄せた。
皆が、心から、その死を悲しみ、泣いていた。
シアが、弔辞を読んだ。
「ファサル国王様……あなたは、誇り高く、強く、優しく、皆に慕われ、限りなく素晴らしい人でした。どうしようもない運命を知りながら、それでも、その運命を受け入れ、最後まで人のために生きた……」
シアは、声を詰まらせた。
「あなたのような方を、私は他に知りません……。どうか、永遠に、安らかに、この国を見守っていてください……。あなたの親友であり、永遠の信奉者であるプルシアン王国の宰相、シアより……」
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