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わたしと、ファサル国王、そして、リナールは、建物の中に入った。
この国の人らしき村人たちが、幾人か、椅子に座っていた。
リナール医師の治療を待っているのだろう。
ファサル国王は、その席に、同じように座った。
すると、周りにいた、村人たちが、血相を変えて、言った。
「ファサル様! どこかお悪いところがあるのですか?! 何を並んでおられるのですか?! 早く、先に治療をお受けください!」
「皆と同じで良い」
ファサル国王は、穏やかに言った。
わたしは、呆れて、思った。
本当に、この人は、王様なの?
あまりに、人が好過ぎる!
それに……。
関係ないけど、イケメンだし……。
わたしは、ずっと思っていたことを、再確認した。
王様で、強くて、優しくて、そして、イケメン……。
もし、わたしの職場にいたらなら、もうモテまくりの争奪戦だ。
ああ、しかし、わたしは、元の世界に戻れるのか……。
わたしが、考え込んでいると、リナールが、わたしに訊いた。
「あなたは、どこの国のお方なんですか? 看護師と言われましたね?」
「ええっと、とても遠くの国です。それに、一応看護師ですけど、新米で、お役に立てるかどうか……」
わたしは、多くの待っている患者を前に、急に不安になった。
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