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#1 訃報
叔母夫婦が不慮の事故で亡くなった。
ひとり息子を残しての死だった。
泣きじゃくる母から連絡を受けて、なにはともあれ遺体と対面しようと横浜の葬祭場へと向かう。
まだ40代半ばでの突然の死、さすがの訃報に一族は揃っていた。
俺から見ると祖父母となるふたり、そしてうちの両親と俺の妹。俺からは叔父となる父の弟。
それから叔母の夫の家族は、やはり両親と妹さんも駆けつけていた。
そして、叔母夫婦の遺体をじっと見つめ立ち尽くしている青年は、まだ17歳、高校2年生の池田晴樹だ。170センチと大柄なほうなのに、背中が小さく見えた。
面会室に入った瞬間ため息が出た──ムードが険悪すぎる。
そもそも叔母夫婦は結婚を反対されていた。
歳が離れていること、学歴差があること、おめでた婚であること、そんなことから両親たる祖父母が大反対し、それにつられる様に旦那さん側も意固地になってしまったようだ。だが叔母は一念を通し、駆け落ちするように結婚した。
それからずっと叔母夫婦はそれぞれの親とは交流をもっていなかった。正月に集まるのもうちと叔父の家族だけ──もっとも父たち兄弟たちはなかよくやっていた、俺は晴樹にミルクをやったこともあるし、近場の旅行やレジャー施設に行くことも多かった。先日も焼き肉屋に行ったのに。
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