#1 訃報

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晴樹は全てを失った、まだ青春真っただ中で、ただ生きていれば楽しいだけの人生だったはずなのに、いきなり大海原に放り出されたのだ。 「心配すんな。晴樹が必要なだけそばにいてやるから」 背中を撫でながら言えば、晴樹は耳元で「え」と声を上げた。 「でも……将宗くんも、結婚とか……」 「いい歳なのにってか。まあ確かに親からは孫の顔ガーとか言われてるけど、結婚したいって気持ちより、まだ遊んでたい気持ちの方が上だな」 実際には付き合っているヤツはいるが、結婚だなんだということには、ならないだろう。 「恋人、いるんじゃないの?」 「うっさいほっとけ。人の心配はいいから、子どもは子どもらしく、自分の心配だけしてろ」 言えば晴樹は「ん」と返事をする。 「でも、同居人って恋人なんでしょ」 「ああ、違う違う、会社の後輩」 それは嘘ではないが、その先まで言う気はない。 「家賃折半で住んでんだよ、俺がいなくなればもっと安い家賃の部屋に引っ越すだろ」 「なら、うちに来ても……」 「そういうわけにもいかないだろ」 あいつを呼ぶわけには。 「職場が遠くなるっていうなら、おれが将宗くんちに行ってもいいよ」 「引っ越し面倒だろって、通学も面倒になるぞ」 「だったら……うち、部屋、余ってるよ。3人くらいなら、住めるから……」 元々3人で暮らしていたからというわけではない、家は4LDKなのだという、マジで広いな。 「ありがとな、聞いてみるよ」 その時ドアがノックされた、晴樹は慌てて離れていく。そりゃ男に抱き締められてるとこなんか見られたくねえよな。
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