8.極楽日和

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8.極楽日和

 後日拓巳の家に宅配便が届いた。  送り主は不明だったがダンボールの中には大量のキュウリが入っていたため察しはついた。  奴らにうちの住所を教えたのは番頭のお婆ちゃんだろう。  あの銭湯、異世界に繋がるゲートの鍵でも持ってるんじゃないか。 「しかしこんなキュウリいっぱい何に使えっていうんだよ」  漬け物? 冷やし中華? 「ダメだわからん」  晩酌のビール片手にキュウリの料理のレパートリーも考えるもたいして思いつかず。 「ひとっ風呂浴びてからにするか」  あれからちゃんと業者のおかげで風呂は無事に直り、拓巳の快適な風呂タイムは現在絶賛継続中だ。 「タオルタオルっと」  背中にタオルをひっさげ拓巳は風呂場へ向かう。  鼻唄をうたう拓巳の背中では怪しい湯気のキャラクターがゆらゆらと楽しそうに揺れていた。
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