少年魔術師、その真価を発揮させる

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少年魔術師、その真価を発揮させる

 ♦ ♦ ♦ 「これは・・・!」  アル達が着いた時、  ダンジョンの入り口は粉々に破壊され、  さらに数倍大きな洞穴となっていた。  そして、そこから無数の魔物を従え現れたのは・・・ 「クリス!」  思わずアルは叫んだ。  何か様子がおかしい。 「ク、クリス?」 「クリス~・・・?」  仲間2人も気づいたようだ。  クリスから発せられる邪悪なオーラに・・・!  そして何より、その憎悪と狂気に満ちた表情(かお)に…… 「アル・・・!         アルゥゥゥッ・・・!!      お前のせいで・・・!            お前のせいで                こんな目にぃぃぃッッ!!」   【その気配・・・。なるほど、  私のドラゴン共を壊滅させたのは       貴様達か】  ・・・!? 「今のは・・・?」  アル達は戸惑った。  クリスから二つの声が、  同時に聴こえたのだ。  一つはクリス自身の、  そしてもう一つの禍々しい声は・・・ 「憑依(ひょうい)、されたという事ですか・・・」  動揺しながらも瞬時に分析するサーニャ。 「『()根源(こんげん)』か・・・!  くそッ、どうすれば・・・」  これでは手が出せない。 「クリス!聴こえるか!?  何とか『そいつ』を引きずり出してくれ!!」 「黙れアル・・・!       何ヲ偉ソウに命令してイル!?        ミンナ・・・、ミンナ馬鹿にして・・・    許サナイ・・・‼                           ユルサナイゾオオッ!!!!」     【くっくっく…、無駄な事を。  そんな説得をしても逆効果だ。  お前がこいつに偽善をふりまけば、  それだけ負の感情は膨れ、                      私の力も増大するのだ!】    ダンジョンの主となったクリス・・・。     その腕が上がると共に、  モンスター達が一斉に襲い掛かってきた! 「、いま付与魔法を‼」  すぐさまアルは頭上に魔法陣を展開した!  だがその紋様は、  クリスの仲間2人の記憶にあるウン・・・  とぐろのそれではなかった。  アルの成長と共に少しずつ、  その背をこちらに向け始めたとぐろの紋様。  それは、一匹の蛇の姿だった・・・! 「ア、アル!?  それって……」  紋様の蛇はまるで意志があるかのように、  魔法陣の円から抜け出したかと思うと、  アルに向かって飛びついてきた。 「アル!?」  瞬間、アルの全身が光ったと思った直後、  その肌には輝く蛇の紋様が浮かび上がっていた・・・!  そのままアルは、  付与魔法をかける! 「来るぞ!」  当惑している2人をよそに、  アルとサーニャは先頭の魔物達を迎撃する。  1匹、2匹、3、7、・・・13!  次々に倒される先頭のオーク達。  そして素早く回り込んできた魔獣達は・・・ 「そうはいくかっての!」 「えい~!火炎魔法(ファイヤ~)!」  落ち着きを取り戻したかつての仲間二人が一掃。  わずか数秒にして目の前の魔獣がチリと化す。  その力に、彼女たち自身が一番驚いている。 「この感じ・・・、  思い出した・・・。  アルといた時、  いつもこんな風に・・・」 「うん、でもでも~。  あの時よりもずっと凄いよ~。  あの時のアルよりもずっとずっと、  ず~っと強くなってる~・・・」  ああ、そうか・・・。  二人はようやく気付いた。  これが、アルの本当の力だったんだ。  アルは本当なら、こんなにも頼もしい存在なんだ。  わたし達仲間が、  彼を否定さえしなければ・・・。  自分達の目の前で、  新たな仲間と共に数倍の数の敵を倒していくアルを見ながら二人は、 「くっそおおおッ!!」 「ああん、もう~ッ!!」  そのやり場のない感情を、  目の前のモンスター達にぶつけていったのだ……。 【つづく】  __________________ 『君』は読み進める……。 (やっと分かったかよ追放サイド。  自分の無能ぶりがよ……。  あとで焼き土下座して、  死ぬ気で主人公に詫びろよ、馬鹿ども!    ――とりあえず、 『応援ボタン』や『コメント』で評価くらいはしてやるか。  読んだ以上、褒美くらいは必要だよな。  ありがたく思えよ、作者……)
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