わたくし、婚約破棄されましたわ。

1/1
前へ
/26ページ
次へ

わたくし、婚約破棄されましたわ。

 ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ 「フローレス!  ぼくは君との婚約を破棄する!」  わたくしに向かってそう怒鳴られたのは、  婚約者のエスイクス王子でした。  それもパーティー会場の一番目立つ場所で。    せっかくの宴席ですのに、  皆さま大騒ぎですわ。  何のパーティーなのかは、  わたくしも存じ上げませんが・・・。 「君は『聖女』にふさわしくない!  だから、ぼくの婚約者にもふさわしくない!」  どういう理屈ですの・・・。 「だからぼくは、  真の『聖女』であるこのヒルルと結婚する!」  そう言って王子は、隣にいた少女の肩を抱かれました。 「ああ、エスイクスさま・・・」  と、相手の()(はかな)げなシナを作っておりますし。  ヒルル・・・、  わたくしや王子の通う学院に同じく席を置いている子・・・。  そして、確か先日大聖堂で、  『聖女』としての『力』の内包を認められたとか。 (あら、そういえばいつでしたかこの子・・・)  などと考えていると、  またもや王子は声を荒げ始めました。 「先日の事もヒルルから聞いたぞ、フローレス!  君に学院で階段から突き落とされたあげく、  倒れて動けないところを乱暴に踏みつけられたとな!  何てひどい奴なんだ君は‼」 「は?」  わたくし唖然としてしまいました。  あまりに事実・・・いえ、  真実と違うものですから。  ですが、この大ホールでのしかも王子さま(一応)のお言葉。  周りの貴族の方々もわたくしに、  疑惑や非難の眼を向け始めやがっていますわ・・・。  ヒルルさんは自分より身分が下のわたくしが、  王子の婚約者となった事が気に入らないのか、  事あるごとに学院で嫌がらせをしてきました。  わたくしの筆記用具をどこかに隠したり、  食堂でわざと手に持った食事をわたくしにかけたり、  わたくしが『聖女』という立場を利用して、  自分を奴隷のように扱っているなどとデマを流したり・・・。  あ、思い出したら少々ムカついてきましたわ・・・。  ですが、もちろんわたくしは、  ヒルルさんを階段から突き落としたりなどしていません。  あれはヒルルさんが、  わたくしを後ろから突飛ばそうとして起きた事。  気配を察したわたくしは身をかわし、  よけられたあの子が勝手に階段を転げ落ちた、  というのが真実ですわ。  ヒルルさんがそのまま動かないので、  わたくしも急いで階段を降り、  そばに駆け寄ったのです。 (息を・・・していませんわ!)  わたくし急いで靴を脱ぐと、  横たわるヒルルさんの背中に足をつけ、  そのまま全ての『力』を使って彼女を回復させたのです。  そう、わたくしは、  。 【つづく、ですわ】  _________________________________ 『君』は読み進める……。 (ほう、聖女の婚約破棄ものか。  こういう場合、聖女を国から追放して、  その結果、追放サイドに災いがふりかかる、  というのが定石だが……。  それにしても、足から聖なる力とは斬新だな。  女視点の物語という事は、作者は女子か?  PNもジョセフィーネだし、きっとそうだろう。  そうか、女子か……。    ――とりあえず、 『応援ボタン』や『コメント』で評価してやろう。  それが、読み手の礼儀というものだ……)
/26ページ

最初のコメントを投稿しよう!

3人が本棚に入れています
本棚に追加