3人が本棚に入れています
本棚に追加
少年魔術師、冒険者パーティーをクビになる
~~~~~~~~~~~~~~~~
「アル、お前はクビだ」
魔術師アルは冒険者ギルドで五指に入ると言われるパーティーの一員。
その彼が今、リーダーのクリスによってクビを宣告された。
他の二人も同意見のようだった。
もう一人、知らない顔がいるが・・・。
―――宿屋の静かな一室。
アルは今のクリスの言葉が信じられなかった。
もう何年も冒険者として、
背中を預けあってきた仲間なのに・・・。
「どうして・・・」
震える声で問うアルに、
クリスの高圧的な声が降り注ぐ。
「どうしてだって?
自覚がないのか。
いつも後衛で守られているだけで、
一人では魔物一匹倒せるような力もない。
回復魔法も1人ずつにしかかけられない。
これまでどれだけ足を引っ張ってきたと思っているんだ」
「そうよ、この前のドラゴン戦の時だって」
「ね~?アルさえいなければ2匹とも倒せたのに。
そうすれば報酬だって半分にならずに済んだのにさ~」
他の二人もクリスの言葉に同意を示す。
アルは言い返したりせず、努めて冷静に説明を試みた。
「・・・確かに、僕の魔法は威力がない。
でも、それは皆が僕に魔法陣の使用を禁じたからだ。
魔法陣さえ展開できれば、威力を倍増できるのに・・・」
「うるさい!!」
説明はクリスの怒声によって中断、いや消去された。
「あんなウン・・・、
下品な魔法陣なんか許可できるか!
他の魔術師はちゃんと、
五芒星や六芒星の魔法陣を描けるのに・・・!
もうパーティー全体の恥となる存在はいらない!
お前よりもっと有能な魔術師をスカウトしたからな!」
「そういう事です、アルさん」
そう言って、
クリスの傍にいたローブを着た女性が進み出る。
「あなたの後は私が引き継ぎます。
私はあなたと違って全体回復も得意ですから。
だから安心してパーティーを抜けてください」
(僕に一言の相談もなく・・・)
アルはもう、抗議する気にもなれなかった。
ただ最後に、
「無理だけはしないで……」
とだけ言うと、部屋を出て行った。
【つづく】
_________________________
『君』は読み進める……。
(なるほど、まずは定番の追放部分だな。
この追放サイドも、主人公に本来の力を発揮させずに追い出すという、
追放ものにはよくある連中だ。
これはざまあし甲斐がありそうだ。
しかし、展開を禁止されるほどの、
主人公の下品な魔法陣とはいったい……。
――とりあえず、
このまま画面をスクロールして、
『作品のフォロー』に、
『応援ボタン』や『コメント』で評価くらいはしてやるか。
読んだ以上、それくらいはしなければな……)
最初のコメントを投稿しよう!