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少年魔術師を追放した側のその後
♦️ ♦️ ♦️
「くそッ!
どうしてこうなった!?」
―――アルを追い出したクリス達パーティーは、
再びドラゴン退治の依頼に挑んだ。
前回1匹倒せなかったのは、
足手まといがいたせいだ。
ダンジョンにもぐり、
ドラゴンと遭遇するやいなや、
一気にカタをつけてやるとばかりに突撃したのだ。
斬撃!
刺突!
打撃!
火炎魔法!
凍結魔法!
雷撃魔法!
だが・・・、
まったく効かない。
唯一傷らしい傷といえば・・・、
前回アルが真空魔法によってまぐれ(に決まっている!)で斬り落とした、
頭部の角くらいのものだ。
やがて息が切れ、
攻撃の手が止んだ次の瞬間、
ドラゴンのブレスが放たれ、
勝敗が決まった・・・。
♦ ♦ ♦
「はあッ・・・はあッ・・・」
何とか逃げ切る事ができたクリス達は、
ダンジョンを出た途端、
疲労とダメージでその場にぶっ倒れた。
新しく入った回復術師が仏頂面で、
その足元に五芒星の魔法陣を展開しながら、
パーティー全体へ回復魔法をかける。
『魔法陣は魔法の威力を上げるのだ』
―――しばらくして、
メンバー達は言い争いを始めた。
「だいたいあんたの回復が遅すぎるのよ!
もっと早くできなかったの!?」
「そうそう~」
「無茶を言わないでください!
全体回復にどれだけの集中がいると思っているんですか!?
そもそも、あなた達が回復の時間を稼いでくれれば、
もっと楽にやれたんですよ!」
「ダメージを負った状態で、
どうやって敵を止めろって言うの!
ていうか、
回復なんて攻撃をよけながらでもやれるものでしょ!?」
「だよね~」
「無理に決まっているじゃないですか、そんな事!
それ以前に、
ドラゴン相手に作戦も立てずに、
いきなり突撃なんて無茶苦茶です!
はぁ・・・、
入るパーティーを間違えたかも知れませんね。
ギルド最強の一角という話もあやしいものです」
「言ったわね、
あの無能のアルより使えないくせに・・・!
ねえクリス、
あなたも何とか言ってやって…」
「うるさいッッ!!」
クリスの怒号によって、
言い争いは中断された。
―――しばらくして、
まるで自分に言い聞かせるようにクリスはつぶやいた。
「今日は・・・、みんな調子が悪かっただけだ。」
♦ ♦ ♦
「おい聞いたか?
クリス達のパーティー・・・」
「ああ、
また依頼に失敗したらしいな」
「オイオイオイ、
これで何度目だよ」
「ついこの前まで、
ギルド有数の実力なんて言われていたのにな」
「いや、
そもそもそれがおかしかったんだよ」
「ついにメッキがはげてきたってことか?」
「そうそう。
ま、なんにせよいい気味だぜ」
「だよな。
今考えれば生意気な連中だったもんな、あいつら」
そんな風に、
周りの冒険者達に手のひらを返され、
ギルドでも馬鹿にされるようになったクリス達。
新しく入った回復術師はすでに、
「やってられません!」
の一言で離脱。
さらにパーティーの軍資金も底をつきかける。
あの日パーティーの役立たず(間違いない!)をクビにしたのよりも数ランク落ちる宿屋の一室で、
ガタつくテーブルを囲んだクリス達は、
もはや言い争う事もできないほど憔悴しきっていた。
なぜ・・・、
どうしてこうなったのか。
すでに皆が気づいていた。
だが、それを言っては・・・
「ねえ、クリス・・・」
「・・・」
「わたし達が強かったのって・・・、
アルがいたからじゃないの?」
【つづく】
___________________
『君』は読み進める……。
(来たな、追放サイドの転落。
くっくっく……、分かりやすいくらい落ちぶれてやがる。
人を馬鹿にして粋がっていた奴らが痛い目にあう様って、
何でこう気持ちいいのだろう……。
もっと、もっと落ちぶれてしまえ!
――さてと、このまま画面下にある
『応援ボタン』や『コメント』で評価くらいはしてやるか。
読んだ以上、それくらいはしなければな・・・)
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