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少年魔術師、心機一転して依頼に励む
一方、
そのアルはというと・・・
♦ ♦ ♦
パーティーを追放された日、
アルは、
(今は、
もう何も考えたくない・・・)
と、安宿の部屋でまず、
その頭上に魔法陣を展開した。
通常魔法陣とは、
円の中に五芒星・六芒星が描かれた紋様をしている。
だが・・・、
何故かアルの魔法陣は星の代わりに、
蛇が上下逆向きにとぐろを巻いたような・・・、
早い話が、
『ウンコ』の紋様をしているのだ。
理由はわからない。
子供のころひたすら紙に、
ウンコの絵を描きまくって遊んだせいか・・・。
それとも、周りに内緒でこっそり飼っていた
白蛇の影響か・・・。
(下品な紋様・・・か)
クリス達パーティーの誰にも認められなかった、
この魔法陣・・・。
それを使ってアルは、
自らに強力な睡眠魔法をかけ、
・・・爆睡した。
丸三日ひたすら眠り続け、
目覚めた時にはどん底だった気持ちも多少はマシになり、
同時に猛烈な空腹を覚えた。
『冒険者は大盛りサービス』の食堂で腹を満たす。
気持ちは・・・、
カラ元気くらいなら出せそうだ。
「よし、ギルドへ行こう!」
と、クリス達がいないであろう時間帯を選んでやって来た。
単独になったので受けられる依頼は限られるものの、
そもそもアルは仕事のえり好みをする方ではない。
パーティーにいた頃は仲間がとにかく金になる依頼、
冒険者として箔がつく依頼をと強く言うのでそれに合わせていたが、
(心機一転、
初心に帰って……)
依頼掲示板から彼が選んだのは
『薬草採集』であった。
受付を済ませ、準備を整えるとさっそく出発。
(う~ん、ちょっと危険だけれど、
ダンジョンの近くで採るか)
ダンジョン付近は魔物も出やすいが、
質の良い薬草が採れる穴場があるのである。
(魔物のおとしものがいい肥料になるのかな・・・)
・・・などと考えているうちに到着。
さて、
奥の森に入ろうとしたその時、
「はぁっ・・・はぁっ・・・!」
ダンジョンの中から、
冒険者らしい一行が飛び出してきた。
条件反射でアルは、
近くの草むらに隠れて様子を見る。
全員、息も絶え絶えな上に傷だらけだ。
命にかかわるほどではないが。
気になって聞き耳をたてるアル・・・。
「やれやれ・・・、
あやうく全滅するとこだったぜ」
「でもリーダー、
サーニャの奴が・・・」
「仕方ないだろ、
あいつを囮にしなきゃ皆殺しにされていたんだから」
「そういう事。
一番弱いやつを犠牲にするのは当然だろう」
「だからって・・・、
殴って置き去りにするなんて・・・」
そこまで聴いたところで、
アルは彼らの前に姿を現した。
「おいっ!
今のはどういう事だ!?」
「な、何だお前は!?
いつからそこに……」
バキッ(×2)❕
一刻を争う事態と判断したアルは、
まずリーダー格とその腰ぎんちゃくらしき男の2人を物理的に黙らせる。
そして、残り1人の胸ぐらをつかむと、
「囮にした仲間はダンジョンのどこにいる!?
階層と地点を言え!!」
「あ、ち、地下1階のA-4地点・・・
でも、きっともうオークに・・・」
そこまで聴いたアルは相手を突き飛ばし、
すぐさまダンジョン内に飛び込み、
ウンコ・・・もとい、
魔法陣を頭上に展開しながら、
瞬間移動の魔法を発動した・・・!
【つづく】
_________________
『君』は読み進める……。
(ウンコ絵の魔法陣……、
なるほど、それが主人公の追放理由か。
それにしたって、追放サイドは了見が狭いな。
ウンコ絵くらい誰だって描いた経験があるだろうに……。
――とりあえず、画面下まで行って
『応援ボタン』や『コメント』で評価くらいはしてやるか。
読んだ以上、それくらいはしなければな。
ありがたく思えよ、作者……)
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