地球最後の夏だとかいう噂

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仕方なくうろうろしていると、スポーツ用品館にたどり着いた。 「すいません金属バットが欲しいんですけど」 「あ、バットですか?今は品切れなんです」 「木製でもいいんですが」 「バット自体がなくて。グローブならありますよ」 「ボーリングのボールは?テニスのラケットでもいいんですが」 「何に使う気なんだよ?」 「お前が考えてることだよ」 「怖っ」 店員さんは努めて冷静を装っていた。 「テニスラケットは無いんですが、バトミントンと卓球のラケットなら在庫がございます」 「じゃあそ両方ください」 「お包みしますね」 「テーピング用のテープも下さい」 こうして、ひと通り買い物を済ますと、明は近くの公園の木陰に座り込んで何やら作り始めた。 公園では子供達が、楽しそうに遊んでいる。なんたって夏休みだ。しかも世界の終わりなら、宿題の心配もないのだ。 平和な光景とは裏腹に、明はバトミントンと卓球のラケットをテープでぐるぐると巻きつけていた。 「何してるの?」 「魔改造」 「何が出来るの?」 「武器」 おれの知ってる明は優しいけど、芯がしっかりしているやつだった。 今は青白い顔のサイコパスだ。心が見えない。 「よし、出来た」 「何に使うんだよ」 「むかつくやつをぶっ殺す」 「誰に使うんだよ」 「親父かな。俺のことを差別的な言葉で侮辱した。あとは俺のことをキモイって言ったクラスのやつ」 明はブンブンと魔改造ラケットを振り回した。陸上部出身なのに、なかなかのスイングだ。 「まずはお前からだけどな」 まっすぐに俺の目を見てそう言った。
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