そうだ、内側へ行こう! <GO INSIDE!>

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「三人そろったら、松竹梅だね。」という理由だけで高校時代に友人となった松村・竹上・梅本は、今、海に浮かびながら、オランダの沖合で巨大な海獣に飲み込まれようとしているところだ。  三人がこんな状況に至ったのは、1か月ほど前に行ったミーティング(=旅行会議)に端を発する・・・ -----  松竹梅の三人は高校を卒業してから約20年ほど、毎年、旅行を敢行している。全員、家族持ちではあるが、その旅行だけは男三人で行くことが許されているのだ。  ただ、単純な旅というものに対して、三人はだんだんと退屈だと感じ始めていた。いわゆる、マンネリ化というやつだ。  もちろん、実際に旅行に赴くと旅先では楽しめてしまうものだが、旅行会社のパンフレットを見る限りではなんだか退屈に感じてしまう。アンコールワットも行ったしなぁ、とか、パリは三度目だよな、とか。そこで、このマンネリ感をどう打開する?というのが今回の旅行会議の議題であった。  一般的に松や竹と比べると何となくパッとしない梅(=梅本)は少しひねくれた性格をしていて、そのためか、発想が自由な大人へと成長していった。そして今回も、そんなマンネリの打開に向けて、梅本が口火を切った。 「あのさぁ、旅行ってさぁ、全部、外側に向かうもんじゃん?」 「おっ、何か閃いたか?梅本先生。」竹上が反応する。 「まあね。ちょっと抽象的だけど、今回は内側に向かわない?」 「内側?内側に旅行?・・・どういうこと?」 「ボクたち、三人とも専門性がバラバラだろ?めっちゃ適当だけど、これまで行ったことのないオランダに行って、それぞれの専門性を生かして、“内側”に向かうようなアクティビティを一人ずつ披露するんだよ」  ・・・まったく良くわからなかったが、まぁとにかくオランダに行ってみるかということとなって、一か月後、三人はオランダへと赴いた。
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