そうだ、内側へ行こう! <GO INSIDE!>

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 牛乳を注ぐその女性は、三人の男が目の前に立っていることに気づき、少し驚いた顔をしてから口を開いた。 「あんたら、誰?」  バリバリ関西弁のイントネーションに三人は笑いそうになりながら、返事を返す。 「すみません、急にお邪魔しちゃって。・・・それって、何をされているんですか?」松村が質問する。 「これ?・・・いや、普通にブレッドプディングやねんけど。パン、硬くなったら食べれへんやろ?だから、牛乳とカスタードで煮込んで柔らかくすんねんけど。ちょっとビールも加えて。・・・でも、あんたら、ブラッドプディングを知らんの?」 「フェルメールさんってどんな方なんですか?」梅本が別の質問へと切り替える。 「あぁ、旦那さん?普通にええ人やで。画家としても注目を浴びはじめているって言うのに、お父様から譲り受けた宿屋の経営も頑張ってはってねぇ。それに何といってイケメンやしねぇ。ふふふ。」少しふくよかな牛乳を注ぐ女は楽しそうだ。  が、少し真面目な顔に戻って、「だから、私ら使用人も、ちゃんとせんとあかんなって思うから、こんな風にブレッドプディングも丁寧に作ってんのよ?」と加えた。  牛乳を注ぐ女性ともう少し会話を続け、小さな部屋の中を探索してから、三人は現実世界へと戻った。無機質な白い壁の部屋。 「いやぁ、絵画の内側ってのも楽しかったなぁ。」と、研究所から出た松村はすがすがしい顔で喜びを表現した。  それを見た竹上もご満悦なようだ。そして、梅本のほうを振り返って「明日は梅本だな。期待してるぜ?」と、告げた。
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