あおぞらふたり30

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お日様がやさしくなった。 日が傾き始めている。 ヒグラシのカナカナカナという鳴き声が小山から響いてくる。 「れんちゃん、あそぼ」 ようこちゃんが誘いに来た。 夕焼けがお空の雲を真っ赤に染めていた。 「まって、今行く!」 と、言ってれんが玄関から出てきた。 「ブランコで遊ぼう」 ようこちゃんは近くの公園にかけていく。 れんはあわてて追いかける。 二台のブランコがちょうどあいていた。 ふたりはそろって立ちこぎを始める。 ブランコのスピードがだんだんはやくなる。 ようこちゃんの長い髪が風に舞う。 風が二人の頬に心地良い。 近づく秋、もうじき夏休みもおわる。 ようこちゃんがブランコのスピードを下げた。 れんもグッと腰に力を入れてブランコのスピードを緩める。 「れんくん、今から助六神社にいこうよ」 「いいけど、どうして?」 「行きたいの」 「じゃ、行こう!」 二人はブランコから飛び降りて助六神社にむかった。 助六神社は公園から5分もしないところにある。二人の小学校からも近く、夏には小さな夏祭りも開催される。 助六神社に着いてみると小さな子供達がお母さんに連れられて涼みに来ていた。 「隠れんぼしょうか?」 れんが提案した。 「いいわ、ね、じゃ鬼はどっちが先にする」 「ジャンケンで決めよう」 「いいわ」 「それじゃ、ジャンケンポン」 鬼はようこに決まった。 「もういいかい?」 「まぁだだよ」 れんはうまく境内をまわりこんで末社近くのご神木のうしろに隠れた。 「もういいかい?」 「もういいよ」 ようこはれんはの声がした方へ歩き始めた。 神社の末社があった。 「きっとこの後ろだ」 さっと走って回り込んでみる。 ハズレだった。 「どこいったのかしら」 れんは、ようこが末社から本殿に行くのを見たので、ご神木からさっと離れて手水舎の裏に身を潜めた。 「ここなら見つからない」 れんはようこが困り顔してるのを気の毒に思ったけど、もうしばらく隠れていようとおもった。 「れんちゃん、いったいどこに隠れたんだろう」 困り果てるようこ。 夕日がまっかだ. ようこが鳥居を見上げた影がま横に伸びている。 れんは余裕で座り込んでいた。 ようこはなにげなく手水舎のほうをふりかえる。 人の影が長く横に伸びていた。 ようこは忍び足で手水舎に近づく。 「れんくんみーーつけた!」 ようこはれんに素早くタッチした。 れんは思わぬようこの奇襲にくやしがった。 今度はれんが鬼になった。 夕日がどんどん傾いてゆく。 れんとようこは日が暮れるまで遊び続けた。 近づく秋 けれども二人の夏はまだまだおわらない。
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