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昔昔、小さな小さな村で二人の男の子が産声を上げた。小さな体で、まだ目も開いていないのに、互いの手をしっかりと握りながら喜びの泣き声を轟かせていたという。
二人を産んだ母は幸せそうに、彼らの名前を呼んだ。先に取り上げられたほうを"ケイヤ"、後に取り上げられたほうを"コウヤ"と。そのときの赤子が僕と彼だ。
しかし、軟弱だった母は出産後すぐに息を引き取った。故に僕たちは母の顔を知らない。父は母の妊娠が発覚して間もないときに、村のしきたりに則ってこの世を去ったらしい。
「水神家の長男は25歳になると神様の生贄としてその身を捧げる。村に恵の雨を、豊かな土を、穏やかな陽の光をもたらしてくれるよう、神に願うのだ」
僕たちを取り上げ、両親の代わりに僕たちを育ててくれた婆やはそう言った。僕たちは顔を見合わせて、怖いね、と言い合った。僕たちが10歳になった日のことだ。そのとき初めて父と母のことについて知った。
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