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なぜ嫌がるかと言えば、飛行機が嫌いだからと言うしかない。
飛行機に乗りたくない。なぜなら信用できないからだ。
冷静に考えてほしい。飛行機というのはいわば鉄の塊である。
鉄をご存じない方に説明すると、あれは大変に重たい金属なのだ。この地球において重たいものは落ちると相場が決まっている。それが空を飛ぶなんて、ちょっとファンタジーが過ぎませんか?
航空力学?
揚力?
全て落ちることから目をそらさせるための戯言に過ぎない。なぜならば落ちるという事は即ち死ぬという事だからだ。
宝くじに当たるより確率が低いというが、逆に言えば落ちる確率は必ずあるという事で、その一回を引き当てないとなぜ言い切れる? なんでそんな怖いものにみんな平気で乗れるのかのほうがよっぽど謎だ。そう言うわけで、僕は海外はおろか北海道にも沖縄にも行ったことは無い。ちなみに沖縄には一生行くつもりはなく、北海道も電車でないと行かない。
だが、郁美に面と向かって嫌だともいえない。
一応、代替案として、日本でもオペラを見ようと思えば可能だという話をしてみたが、見る間に不機嫌な顔になって行ったので慌てて「まあ本場に限るよな」と言っちゃった僕に関しては時間を遡って殴りたい。
果たして僕はどうすればいいのか。
いやまあ、腹をくくるのが一番いいのだろう。
郁美と死ぬならそれもまた本望、なんて気持ちになれるもんならなりたい。
でも、やっぱり怖いが先に立つ。
交際三年目にして、正念場を迎えてしまったと言わざるを得ない。
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