オペラ騒動

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 事の発端は今年の初詣でだった。  賽銭を投げ終わり、おみくじを買うための行列に並びなおした時に、恋人の郁美がふとこんなことを言った。 「そろそろ世の中も動き始めたしさ、次の連休は、どこかに旅行しようよ」  僕よりはるかに背の低い郁美が見せる上目遣いの視線は可愛い。  こんな子とお付き合いしている僕は、なんて幸せ者なんだろう。  そんなことを考えながら、気軽に了解したのが最初のミステイク。 「次の連休っていつ?」  小吉だったおみくじを専用の場所に括りつけながら、僕は大吉を引いておみくじマウント魔と化した郁美に尋ねた。 「そりゃ、G.W(ゴールデン・ウィーク)でしょ」 「それはまたなかなかハードな戦いになるね」 「大丈夫、私大吉引いたから。どんと任せて」 「へいへい、よろしく」  郁美が小さい体を精一杯そらせて胸を叩く真似をして見せるのを、僕は微笑ましく見ていたわけだが、これが次のミステイクと言って良いかもしれない。
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