羨望と憎悪

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そんな時、取調室のドアがノックされた。五十嵐が椅子から立ち上がり、ドアを開けると、そこには愛音の姿があった。愛音は五十嵐にあることを耳打ちすると、その場で待機した。そしてその言葉はそのまま野本に耳打ちされる。 野本は顔を上げ、はぁ…と息を吐くと、「しばらく休憩を入れましょう」と言って立ち上がった。 その言葉に不安を覚えた様子の加奈子だったが野本に対して追求することはできなかった。 野本と五十嵐が部屋から出て行くと、愛音とそらが代わりに入ってきた。そして席に着くと、そらは持ってきたカップコーヒーと、砂糖とミルクを机の上に置いた。マドラーもカップの中に入っていた。 コーヒーを見つめながら加奈子は黙ってため息を吐いた――。
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