93人が本棚に入れています
本棚に追加
前世での過ちも…現世での過ちもそして…彼の心の中にある「狂気の音」すらも…それらの旋律が音をたてて崩れ始めた世界で…成宮は考えていた。時雨≒とは秋から冬にかけて起る一時的に降ったりやんだりする雨である。
その雨は全てを憂うように屍たちの心さえも洗っていく。咲いた一輪の花はやがて…実を結び彼の心全体を侵食していく。屍の花が咲き誇った先に見えたものが彼の全てを物語る様に…洗っていくのだ。
そしてそれこそが…この事件が「屍棺屋の伽時雨」事件と呼ばれた最大の理由でもある。後に成宮敬斗はこう語っている。この時彼を追い詰め過ぎなければ…あの後ああはならなかったと。
♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪
END
逕庭門の内側の世界で彼の心が音をたてて崩れ始めたのを確認した成宮は確信していた。一方で…現実世界で目覚めた成瀬は…身体の部位を集める為に動こうとしていた。次週「屍の花」「第6話へ続く」
最初のコメントを投稿しよう!