第五章 暗闇に咲く花

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 燃えさかる火が辺りを明るく照らす。なんで早く、こうしなかったのだろう。それほどまでに僕は、生に執着していたのか。でも、もういいのだ。彼女を守るためならば。闇はきっと、次に彼女を喰おうとするだろう。ならばなにもかも、燃やしてしまえばいい。 「……ああでも。最後にあの子の笑顔が見たかったな」  暗闇に咲く、僕の花。永遠に、散らないでおくれ――。
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